ひつじ≒愛 愛の条件について
羊毛から糸と布
脂から石鹸や口紅
乳からヨーグルト、バター、チーズ
肉からソーセージや羊肉
皮から羊皮紙やシープスキン
羊は人に多くの恵みをもたらし、人の命を救ってきました。
人もまた、羊を保護し、飼いならすことで安全を守り、彼らと共に歴史を刻んできました。
羊の語源 ラテン名 ovis aries のovisはサンスクリット語の avi(保護・加護)に由来し、ここでも羊と人との関係を考察することが出来ます。
人がひつじを保護した理由。それは羊が多くのものを「与える」ものだからです。
上記に挙げた物質的なものももちろんですが、愛らしさ、暖かさ、従順さから感じられる精神的に享受出来るものもそこには含まれていると感じます。
愛の必要条件について、多くの人が自説を挙げています。
・相手のことを思い続けること
・相手に尽くすこと
・相手から感じ取り、反応を返すこと
・意見を伝え合うこと
・そもそも愛は証明できない
....etc
人の数だけその答えがあり、自分にとって納得のゆくものがその人にとっての「愛」なのでしょう。
しかし、その多くの共通点として見られるのが「与える」ことなのだと感じます。
愛する者に対して何も与えることなく愛を謳うことは出来ないと。
冲方 丁の著書 マルドゥック・スクランブルにもそんなフレーズがあります。
「愛するから愛される」
ひつじは人に多くの恵みを「与える」動物であり、それ故に「愛される」。
羊は人を愛している!なんてことは言えませんが、多くの恵みを与える羊という動物に愛情を抱く人間は少なからず存在するわけで、そんな羊を愛する人が存在する限り人と羊の歴史は紡がれ続けていくのだと思います。
思想・宗教・産業をはじめとする様々な面でも、羊は善・美・無垢・やすらぎといったイメージとして活躍しています。
「イコン」としての活用。これも羊が「与える」恩恵のひとつであり、犬、猫といった動物とは違い、日常の傍にいない動物である羊が彼らと同程度の頻度で活用されていることもデザインとして優れている証明であると思います。
物質的にも、精神的にも人に「与える」存在である羊。
羊好きが羊から形而上学的に愛を学ぶとすれば
・継続的に、相手に与え続けること
が重要なのではないかと私は考えます。
羊が生きている限り羊毛を与え続けるように、周りの人間に自分が「与えられること」を考える。
羊が多くの時間草を食み、反芻するように、興味のある知識を貪り、行動を反芻する。
自分にとっての善い行動の連続が経験としての羊毛になり、経験は多くの人に新たな楽しみや笑いを提供して温かみを与えることが出来る。
そういった行動の継続が羊的な愛の形であり、「ひつじのような愛」とする形而上学の完成に近づく術なのだと思います。
参考書籍
マルドゥック・スクランブル The 1st Compression─圧縮 〔完全版〕 (ハヤカワ文庫JA)
- 作者: 冲方丁
- 出版社/メーカー: 早川書房
- 発売日: 2012/08/01
- メディア: Kindle版
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